今回はギリシャ神話の神々『オリュンポス十二神』(オリンポス12神)について紹介します。
奥が深く難しいイメージのあるギリシャ神話ですが、この記事を読めば5分でオリュンポス十二神の概要が分かります。
ギリシャには神話に関する観光地が多いので、ギリシャ神話について知っておくと、ギリシャ旅行が格段に楽しくなります!
ギリシャ神話に興味を持っている人はもちろん、今後ギリシャ旅行に行く人はぜひオリュンポス十二神について知っておきましょう!
オリュンポス十二神とは
ギリシャ神話を知る上で重要なのが「オリュンポス十二神」です。「オリンポス12神」とも表記されます。
オリュンポス十二神はギリシャに実在する「オリュンポス山」という山に住むとされていたギリシャ神話の神々です。
オリュンポス十二神の神は以下の通り。
- ゼウス
- ヘラ
- ポセイドン
- デメテル
- ヘスティア
- アテナ
- アレス
- ヘファイストス
- アポロン
- アルテミス
- ヘルメス
- アフロディテ
- ディオニソス
- ハデス
…ちょっと待ってください。十四神いるじゃないですか!
実は文献によって誰を十二神とするかが若干異なります。一般的には1〜12の十二神ですが、ヘスティアの代わりにディオニソスが入る場合もあります。
また、ゼウスの兄であるハデスも十二神と同格と見なされ、十二神に数える場合があります。
オリュンポス十二神の家系図
これらのオリュンポス十二神はそれぞれが血縁関係にあり、家族のような関係です。
下の家系図を見てもらえば分かるように、ゼウスを中心に兄弟姉妹や彼らの子供など、性別や世代も様々です。
オリュンポス十二神と星の関係
ここではオリュンポス十二神の一覧を、英語名・種類・関連する星と共にご紹介します。
ギリシャ神話の登場人物はよく星座になっていますが、オリュンポスの神々は惑星の名前とも関係しています。
特に英語の名前を見ると、よく耳にする名前もあるのではないでしょうか。
オリュンポス十二神の詳細
ここからはオリュンポス十二神を1神ずつ簡単に説明していきます。それぞれの関係性や正確にも注目してみましょう。
ゼウス

「ゼウス」(ジュピター ) はギリシャ神話における最高神で、全宇宙や天候を支配する全知全能の神。強大な力を持つ雷を武器に巨人族や怪物と戦ったオリュンポスの守護神。
正妻は実の姉でもあるヘラ。しかし、ヘラとの結婚後も他の女神やニンフ(精霊)、人間と浮気を繰り返し、時には子供をもうけた。
ヘラ

「ヘラ」(ジュノー) はゼウスの正妻であり、実の姉。ギリシャ神話の中で最高位の女神。非常に嫉妬深いことでも有名で、ゼウスの浮気相手やその子供に復讐しようとする。
ポセイドン

「ポセイドン」(ネプチューン) は海と川の神で、彼が怒ると波が荒れる。また大地を司る地震の神でもある。
短気で怒りっぽい性格。意見の違いからゼウスに挑んだこともある実力者。三叉の矛を武器として戦う。
デメテル

「デメテル」(セレス) は豊穣の女神で、豊作・凶作は彼女の気分で決まる。
弟であるゼウスとの間にペルセポネを生むが、冥界の神ハデスにさらわれてしまう。冬の間、大地が不毛なのはその嘆きの為。
ヘスティア

「ヘスティア」(ヴェスタ) はゼウスたち兄弟姉妹の長女でかまどの神。穏やかで慈悲深い性格。
アテナ
「アテナ」(ミネルヴァ) はゼウスの頭から鎧をまとって生まれた知恵と純潔の神。
正義に対して勝利をもらたす神だが戦いを好むわけではない。ギリシャの首都「アテネ」の古名アテナイの語源にもなった。
アレス

「アレス」(マーズ) はゼウスとヘラの息子で、戦いの神。戦いを好み、残忍な性格だった為、他の神や人間から畏怖されていた。
トロイの木馬で有名なトロイヤ戦争ではトロイヤ側に加勢して敗北。
ヘファイストス

「ヘファイストス」(バルカン) は火と鍛冶の神。神々の中で最も背が低く醜いが、最も美しいアフロディテが妻。
神々の武器や装飾具、神殿を作った。勤勉で真面目な性格。
アポロン

「アポロン」(アポロ) は音楽をはじめとした芸術の神。
スポーツ万能で、神々の中で最も美形と言われながら、失恋ばかりしている。竪琴と弓を持つ。
アルテミス

「アルテミス」(ダイアナ) はアポロンの双子の女神。月の神であり、狩りの神でもある。潔癖症の処女神。
湖で水浴びをしている姿を見られた際は、その男を犬に噛み殺させたという逸話も。
ヘルメス
「ヘルメス」 (マーキュリー) は伝令の神であり、旅人の守り神でもある。
頭の回転が早く、策略家。竪琴や数学、体育競技の発明者。2匹の蛇が巻き付いた杖を持つ。
アフロディテ

「アフロディテ」(ヴィーナス) は美と愛の女神。優雅な姿を持ち裸で描かれることも多い。フランスのルーブル美術館にあるミロのヴィーナスもアフロディテがモデル。
恋愛感情を起こす弓矢を持つ息子のエロスを連れている。
ディオニソス
「ディオニソス」(バッカス) はオリュンポス十二神に数えられることもある、酒の神。豹や鹿の皮を着て、頭には蔦の冠をつけている。
ゼウスと人間のセメレの間に生まれヘラの嫉妬を買い狂気に駆られるが、後に克服する。
ハデス
「ハデス」(プルートス) は冥界の神であり、死者の神。冷酷非情な反面、厳格公正でもある。
デメテルの娘である春の女神ペルセポネを愛し、冥界にさらってしまう。ゼウスやポセイドンと並ぶ実力を持つ。
オリンポス13神の「アダマス」って誰?
最近人気の「終末のワルキューレ」という漫画にオリンポス13神の1神だった「アダマス」というキャラクターが出てきます。
作中では、ゼウスとポセイドンの兄という設定になっていますが、これは漫画オリジナルのキャラクター・設定で、ギリシャ神話にアダマスという神はいません。
「アダマス」という名前は、ゼウスたち兄妹の父クロノスの武器である鎌の原料であるアダマスに由来しています。
アダマスは現在では「アダマント」や「アダマンティン」と呼ばれており、非常に硬い物質をさします。
ゲーム「ファイナルファンタジー」に登場するアイテム「アダマンタイト」もこれに由来しています (モンスターのアダマンタイマイも同様)。
オリュンポス十二神にまつわる観光スポット
ギリシャにはギリシャ神話、特にオリュンポス十二神にまつわる観光スポットがたくさんあります。
海外旅行に行く際にその国の歴史や文化を理解しているとと、旅行がより楽しくなりますよね?
ギリシャ神話に興味がある方や、この記事を読んで興味が湧いた方は、ギリシャでオリュンポス十二神ゆかりの地を訪れたら、きっと楽しめるはずです!
パルテノン神殿 (アクロポリス)

オリュンポス十二神にまつわる場所で最も有名なのが、世界遺産にもなっているアテネのアクロポリスと、そこにある『パルテノン神殿』です。
今から2500年以上も前に作られたパルテノン神殿は、オリュンポス十二神の1神である「アテナ」を祀っていた神殿です。
神殿の中央には大きなアテナ像が建っていたと言われています。

同じくアテネのアクロポリスにある『アテナ・ニケ神殿』もアテナと勝利の女神「ニケ」を祀った神殿です。
>>参考記事:『アクロポリス』前編。プロピュライア〜エレクティオン
>>参考記事:『アクロポリス』後編。遂にパルテノン神殿へ!
ゼウス神殿

アクロポリスと同じくギリシャのアテネにある『ゼウス神殿』は、オリュンポス十二神の最高神「ゼウス」を祀った神殿です。
紀元前550年頃に建設が開始され、2世紀のローマ帝国時代に完成しました。かつて神殿の中央にはゼウスの像が建っていたそうです。
当時は104本あった高さ17m、直径2mの柱のうち15本が残っています。その大きさは壮観で、近くで見ると圧倒されそうな迫力がありました。
>>参考記事:『ゼウス神殿』ギリシャ神話の最高神を祀った神殿
ヘファイストス神殿 (古代アゴラ)

アテネの古代アゴラにある『ヘファイストス神殿』は、オリュンポス十二神の1神である「ヘファイストス」を祀った神殿です。
パルテノン神殿と同じドーリア式の神殿で、紀元前415年に完成しました。パルテノン神殿に比ると小さいですが、非常に綺麗な状態で残っている貴重な神殿です。
アテネの文化的中心地であった古代アゴラの中で、この辺りが鍜治屋や窯業者が集まる地区だったことから、炎と鍛治の神であるヘファイストスが祀られたそうです。
>>参考記事:『古代アゴラ』古代アテネの文化的中心地
ディオニソス劇場

アテネのアクロポリスの麓に位置する『ディオニソス劇場』は、オリュンポス十二神の1神に数えられることもある「ディオニソス」に捧げられた野外劇場です。
ディオニソスはお酒の神であり、ワインの原料であるブドウの豊穣を願って行われたディオニソス祭の舞台としてもこの劇場が使われていました。
>>参考記事:『アクロポリス』後編。遂にパルテノン神殿へ!
ギリシャ神話についてもっと知りたい人は…
今回はギリシャ神話の神々「オリュンポス十二神」について概要を紹介しました。
オリンポスの神々は絶対的な力を持つ一方で浮気性であったり、嫉妬深かったり、どこか人間的に描かれています。今回ご紹介した以外にも面白いエピソードがたくさんあります。
オリュンポス十二神について興味が湧いた、もっと知りたくなった、という方はギリシャ神話に関する書籍がたくさんあるので、ぜひ1冊購入してみてはいかがでしょうか?
ギリシャ神話、そしてオリュンポス十二神について、さらに知識が深まるでしょう。
次回からはギリシャ旅行記を再開します。アテネを一旦離れ、真っ白な建物と青いドームの教会で有名な「サントリーニ島」を訪れます!