フランス

『ヴェルサイユ宮殿』の歴史と宮殿内部の見どころ

ヴェルサイユ宮殿の鏡の間

今回はパリ郊外のヴェルサイユにある世界遺産『ヴェルサイユ宮殿』を訪れます。

フランス王室が最も栄華を誇った時代の宮殿であると同時に、フランス革命の舞台ともなった場所でもあります。

ヴェルサイユ宮殿は広大な敷地を持つ巨大な宮殿で、宮殿自体はもちろん、そのフランス庭園も美しく、多くの観光客を魅了しています。

この記事では、ヴェルサイユ宮殿の歴史と豪華絢爛な宮殿内部の様子を中心にお伝えします!

ヴェルサイユ宮殿とは

ヴェルサイユ宮殿

ヴェルサイユ宮殿は、フランス王朝の栄華を築き「太陽王」と呼ばれたルイ14世が作ったフランスの絶対王政の象徴とも言える豪華な宮殿です。

1979年には世界遺産にも登録されました。

パリから電車で40分程度で行くことができることもあり、観光客にも大人気のスポットで、今では年間600万人の観光客が訪れます。

フランス語では一般的に「Château de Versailles」(ヴェルサイユ城) と呼ばれます。

宮殿内部は、有名な「鏡の間」をはじめ、太陽王ルイ14世やアリーアントワネットが暮らした豪華絢爛な部屋が並び、当時の優雅な雰囲気を存分に感じることができます!

 

ヴェルサイユ宮殿の歴史

ヴェルサイユ宮殿のルイ14世の像

ヴェルサイユ宮殿は、ルイ13世が狩りを行う際に滞在する場所として1624年に建てられました。その後、太陽王ルイ14世によって改築され、現在の姿になりました。

宮殿は建築家のルイ・ル・ヴォーとジュール・アルドゥアン=マンサールによって設計され、室内装飾を画家のシャルル・ル・ブラン、庭園を造園家のアンドレ・ル・ノートルが担当しました。

その後、ルイ15世やルイ16世の邸宅として使用され、ルイ16世紀の妻マリー・アントワネットが暮らした場所でもありました。

しかし、ルイ16世とマリー・アントワネットは、フランス革命によりヴェルサイユ宮殿を追われることになります。

19世紀になると、皇帝となったナポレオンはヴェルサイユ宮殿を気に入り邸宅にしようとします。

しかし、修繕コストの関係でこれを断念した一方、ヴェルサイユ宮殿の敷地内にある「グラン・トリアノン」を別荘として使用しました。

19世紀末から徐々に修復が行われ、21世紀に入ってからも鏡の間の修復や庭園の樹木の植え替えなどが行われました。

 

ヴェルサイユ宮殿の見どころ

広大なヴェルサイユ宮殿ですが、その中から絶対に見ておきたい見どころを紹介していきます。

太陽門〜宮殿正面

ヴェルサイユ宮殿の太陽門

ヴェルサイユ宮殿には2つの豪華な門があります。特に「太陽門」と呼ばれる2つめの門は、金色に輝く豪華な装飾が目を引きます。

この門の左にある入口でセキュリティーチェックを受けて宮殿内へ入っていきます。

観光客に大人気のヴェルサイユ宮殿では、チケットを購入する人で長蛇の列ができることがよくあります。

この行列を回避する方法は、下記の記事でご紹介しています↓

>>ヴェルサイユ宮殿への行き方、チケット購入の行列を回避する方法

 

ヴェルサイユ宮殿

ヴェルサイユ宮殿の正面です。ヴェルサイユ宮殿には63,154㎡の敷地2,300もの部屋があります。

 

ヴェルサイユ宮殿

宮殿正面の上部には美しい黄金の時計があります。ちょうど王の寝室の真上にあり、時計の真ん中には黄金の太陽のモチーフが付けられています。

時計の周りにある彫刻や、天井付近の装飾も豪華です。

 

王室礼拝堂

ヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂

続いてはヴェルサイユ宮殿の「王室礼拝堂」です。この広々とした礼拝堂はルイ16世とマリー・アントワネットの婚礼舞踏会の場所としても使用されたそうです。

正面には祭壇とその上に大きなパイプオルガンがあります。

このパイプオルガンは、ルイ14世が彼の晩年にフランソワ・アンリ・クリコというヴェルサイユ宮殿の楽器製作を担当したオルガン建造家に作らせたものです。

礼拝堂は2階建てのような構造になっており、2階部分にはコリント式の柱が並んでいます。

 

天井にはル・ブランが手がけた美しい装飾画が描かれています。

 

ヘラクレスの間

ヴェルサイユ宮殿のヘラクレスの間

続いては「ヘラクレスの間」。ここは、先ほど紹介した王室礼拝堂が出来る前に礼拝堂があった場所です。現在の礼拝堂が完成した後、王の居間として改装されました。

 

ヴェルサイユ宮殿の「ヘラクレスの神格化」

ヘラクレスの間の見どころは天井に描かれた巨大な絵画です。こちらは「ヘラクレスの神格化」という作品で、フランソワ・ルモワンヌによって描かれました。

 

ヴェルサイユ宮殿の「パリサイ人シモン家の宴」

壁には「パリサイ人シモン家の宴」という、こちらも大きな絵画があります。

この絵はパオロ・ヴェロネーゼというイタリア人画家が1570年に描いたもので、元々はイタリアのヴェネチアにあるセルヴィテス修道院にありました。

1664年にヴェネチアからルイ14世に寄贈され、ヴェルサイユ宮殿に飾られることになりました。

 

ヴィーナスの間〜アポロンの間

ヴェルサイユ宮殿の「ヴィーナスの間」

「ヴィーナスの間」には大理石でできたルイ14世の像があります。この像は、漫画「ベルサイユのばら」の主人公「オスカル」のモデルになったと言われています。

 

ヴェルサイユ宮殿のヴィーナスの間

ヴィーナスの間の天井にも豪華な天井画が描かれています。これらの絵画はルイ14世の時代に起きた出来事を、オリンポスの神々になぞらえて描いたものです。

中央にあるのは、この部屋の名前にもなっている愛と美の女神「ヴィーナス」の絵です。

 

ヴェルサイユ宮殿のマルスの間

続いては、これまた豪華な「マルスの間」。赤い壁に囲まれた部屋にはたくさんの絵画が飾られ、天井は眩しいばかりの金色の装飾と、天井画の数々があります。

 

ヴェルサイユ宮殿のメルキュールの間

次にご紹介するのは「メルキュールの間」と呼ばれる寝室です。メインの寝室ではありませんが、赤を基調とした豪華な装飾に囲まれた部屋となっています。

 

ヴェルサイユ宮殿のアポロンの間

その先にある「アポロンの間」には、太陽王ルイ14世の肖像画が飾られています。

1701年にイアサント・リゴーによって描かれたもので、パリのルーブル美術館にも同じ絵が展示されています。

この絵をよく見ると分かりますが、身長が160cmほどしかなかったルイ14世は、自分を大きく見せるためにハイヒールを履いていたそうです。

 

鏡の間、戦争/平和の間

ヴェルサイユ宮殿の戦争の間

こちらは「戦争の間」にあるルイ14世のレリーフ。馬に乗ったルイ14世が敵を蹴散らす姿が表されています。

鏡の間を挟んだ反対側には、戦争の間と対をなす「平和の間」があります。

 

ヴェルサイユ宮殿の鏡の間

ヴェルサイユ宮殿で最も有名なのが、この「鏡の間」です。長さ73mもある大きな回廊は、壁に357枚もの鏡があることから、こう呼ばれています。

主に宮廷に仕えた延臣や訪問者の通路や待ち合わせ場所として使用された鏡の間ですが、婚礼時の舞踏会などのイベントや謁見の場にも使用されることもありました。

第一次世界大戦の際に連合国とドイツの間で締結された「ヴェルサイユ条約」が調印されたのもこの場所でした。

高さ12.5mの天井には、17世紀に起こった仏蘭戦争においてフランスがオランダ・ドイツ・スペインの連合軍に勝利したことを記念し、ルイ14世の栄光を表す絵画が飾られています。

 

ヴェルサイユ宮殿のシャンデリア

天井からはたくさんの豪華なシャンデリアが吊るされています。

僕が訪れた午前中は、鏡張りの壁の反対側にある17枚の窓からたくさんの光が差し込んでいてホールが明るかったですが、暗くなる夕方に訪れると部屋がシャンデリアの光に照らされ、昼間とはまた違った雰囲気になります。

 

王の寝室と王妃の寝室

ヴェルサイユ宮殿の王の寝室

こちらは「王の寝室」。ヴェルサイユ宮殿の中心に当たる場所に位置しています。

その名の通り、国王の寝室として使用された場所で、ルイ14世が72年の治世の後、1715年に亡くなったのもこの場所でした。

 

ヴェルサイユ宮殿の王妃の寝室

こちらはルイ16世の妻マリー・アントワネットも使用していたと言われる「王妃の寝室」です。

壁紙をはじめとした装飾には、淡い色の花柄が多く用いられ、とても可愛らしい部屋になっています。

当時、マリー・アントワネットが生活したこの部屋の様子は、着替えの際にも従者たちが部屋にいて、本人のプライベートは一切ありませんでした。

王妃の出産の様子すらも公開されたそうです。

 

戦闘の回廊、戴冠の間

ヴェルサイユ宮殿の戦闘の回廊

最後にご紹介するのは「戦闘の回廊」です。ヴェルサイユ宮殿で一番大きな部屋でもあるこの回廊は、フランス王ルイ・フィリップによって1837年に作られました。

幅13m、長さ120mの回廊に飾られた、33枚の大きな絵画は圧巻です。まるで巨大な美術館のような光景でした。

それぞれの絵は、フランスの歴史に影響を与えた戦いの様子を描いています。

 

ヴェルサイユ宮殿の「皇帝ナポレオン一世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」

ヴェルサイユ宮殿にはたくさんの絵画が飾られていますが、アポロンの間にあるルイ14世の肖像画と並んで有名なのが「戴冠の間」にある「皇帝ナポレオン一世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」です。

パリのノートルダム大聖堂で行われたナポレオンの戴冠式の様子を描いたもので、ナポレオンからの依頼により、ジャック=ルイ・ダヴィッドが1808年に完成させました。

ルイ・フィリップの指示でヴェルサイユ宮殿の戴冠の間に飾られていましたが、1889年にはヴェルサイユ宮殿からルーブル美術館に移されました。

実は、この絵は、ルイ・ダヴィッドが描いた2枚目の絵です。

1822年にベルギーのブリュッセルで完成したこの絵は、1947年にフランスに戻され、ヴェルサイユ宮殿で展示されています。

 

ヴェルサイユ宮殿は宮殿内部も素晴らしいですが、外にも広大な庭園があります。ヴェルサイユ宮殿の庭園と2つの離宮については次回の記事でご紹介します。

>>『ヴェルサイユ宮殿』の庭園と2つのトリアノン

 

ヴェルサイユ宮殿の営業時間・入場料

■ヴェルサイユ宮殿 (Château de Versailles)
営業時間 4月〜10月 9:00〜18:30
11月〜3月 9:00〜17:30
休館日 月曜日、1/1、5/1、12/25
入場料 パスポート(全施設に入場可能) 20ユーロ
宮殿のみ 18ユーロ
グラン/プチ・トリアノン 12ユーロ
HP http://en.chateauversailles.fr

ヴェルサイユ宮殿への行き方と、チケット購入の行列を回避する方法は、下記の記事でご紹介しています。

 

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次回はヴェルサイユ宮殿の広大な庭園と、2つのトリアノン (離宮) をご紹介します!

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