前回まで全15回に渡ってバックパッカー時代のヨーロッパ周遊記をお伝えしてきました。8ヶ国14都市をまわりましたが、移動はほとんど鉄道を利用しました。
通常であれば電車代だけでもかなり高額になってしまいますが、ヨーロッパには僕のような鉄道旅行者にとって大変お得な『ユーレイルパス』という切符があります。
これを使えば、対象の国の電車が一定期間乗り放題になるんです!今回はそんなユーレイルパスの種類と値段、使い方などをご紹介します!
ユーレイルパスとは
ユーレイルパスは、ヨーロッパの多くの国を対象とした鉄道パスで、対象国の鉄道が乗り放題になるとても魅力的なチケットです。
加盟国内の電車はもちろん、ユーロシティやインターシティなどの国をまたいで走る長距離列車も追加料金なしで乗車することができます (ただし、一部の電車は別途料金が必要)。

電車は飛行機に比べて移動時間はかかりますが、飛行機の場合もフライトの1〜2時間前に空港に行くことを考えると、距離によっては飛行機より電車の方が早い場合もあります。
しかも、格安航空券の多いヨーロッパとは言え、何ヶ国も飛行機で移動していたらかなり高額になってしまいます。ユーレイルパスであれば決まった額で何度でも電車に乗れるので、安心です。
特に僕のように1ヶ月に10都市以上も訪れるような旅行者には最適なパスと言えるでしょう!
ユーレイルパスはヨーロッパ以外に住む人だけが購入できるので、日本に住む旅行者はその恩恵を受けることができます。
ユーレイルパスが使える国
現在の加盟国は以下の31ヶ国です(2019年12月現在)。
- アイルランド
- イギリス
- イタリア
- オーストリア
- オランダ
- ギリシャ
- クロアチア
- スイス
- スウェーデン
- スペイン
- スロバキア
- スロベニア
- セルビア
- チェコ
- デンマーク
- ドイツ
- トルコ
- ノルウェー
- ハンガリー
- フィンランド
- フランス
- ブルガリア
- ベルギー
- ポーランド
- ボスニア&ヘルツェゴビナ
- ポルトガル
- マケドニア
- モンテネグロ
- リトアニア
- ルーマニア
- ルクセンブルク
※2019年1月からイギリス、マケドニア、リトアニアが追加されました!
ユーレイルパスが使えない国
西ヨーロッパ・中央ヨーロッパの主要な旅行先で入っていない国はほぼありません。強いていうならモナコくらいでしょうか。バチカン市国とマルタには一般的な鉄道がないので当然対象外。
東ヨーロッパではロシアやウクライナといった旧ソ連の国が対象外。バルト3国ではエストニアとラトビアが、バルカン半島ではアルバニアが対象外です。
ユーレイルパスが使えない電車
加盟国を走る電車でもユーレイルパスでは乗車できない電車があります。それは国営およびそれに準ずる鉄道会社以外が運営する鉄道、いわゆる「私鉄」です。
日本で言うとJRはどこでも乗り放題だけど、東京メトロは別料金、といったイメージです。
国によって細かい条件が異なりますので、あらかじめ<ユーレイルのホームページ (英語)> でご確認ください。

イギリスとフランス・ベルギーを結ぶ「ユーロスター」、フランスとベルギー・ドイツ・オランダを結ぶ「タリス」はユーレイルパスで乗車することができません。
しかし、パス所持者向けの割引料金で乗車することができます。
追加料金が必要な場合
基本的に対象国の鉄道が乗り放題になるユーレイルパスですが、一部の特別列車は追加料金が必要になります。例えば、フランスの高速列車であるTGVや、寝台列車などがその例です。
また、ユーレイルパスでの乗車は自由席が基本になるので、座席の指定には別料金がかかります。
ユーレイルパスを利用するメリット

前述の通りユーレイルパスは対象国の国鉄およびそれに準ずる鉄道が乗り放題になるパスです。1度パスを購入してしまえば、有効期限内であれば何度電車に乗っても無料にります。
それに加えて他にも色々な特典があります。例えば、国によっては電車以外のバスやフェリーが割引になったり、観光地への入場料が割引になる場合もあります。
もうひとつのメリットは、ユーレイルパスを持っている大人1人につき12歳未満の子供は2人まで無料になるということ。これは家族で旅行する人にとっては非常にありがたい特典です。
4〜11歳の子供は、通常の切符の場合、子ども料金を支払う必要がありますが、ユーレイルパスは無料です(0円で購入する必要はあります)。
3つめは、気分次第で行き先を自由に変更できるという点です。通常、鉄道の切符を買う時は、どの駅からどの駅まで、という切符を買いますよね?
そうなると目的地は自ずと決まってしまい、変更するには予約し直さなければいけません。
ユーレイルパスであれば、どの駅からどの駅まで乗るかを事前に決める必要はありません。電車に乗っていて綺麗な街が見えたらそこで降りて見たり、ということも可能です。
ユーレイルパスの種類
対象国/地域
ユーレイルパスには全ての加盟国で電車が乗り放題になる「グローバルパス」と、特定の国に限って乗り放題になる「1ヶ国パス」、近隣の数ヶ国で乗り放題になる「数ヶ国周遊パス」があります。
グローバルパス
グローバルパスはユーレイルパスに加盟している31ヶ国全てで電車が乗り放題になるので、たくさんの国を周遊したい方にオススメです。
1ヶ国パス
1ヶ国パスは1つの国で何都市も旅行する人に最適です。
加盟国31ヶ国のうち、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ボスニア&ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、セルビアを除く国向けの1ヶ国パスがあります。
※1ヶ国パスがない国の一部は、後述の数ヶ国周遊パスの対象に含まれています。

1ヶ国パスの中でイギリスは、対象地域ごとに細かく種類が分かれています。
- イングランド、ウェールズ、スコットランドを対象とする「ブリットレイル・パス」
- イングランドのみを対象とした「ブリットレイル・イングランド・パス」
- ロンドンとその近郊のみを対象とした「ブリットレイル・ロンドン・パス」
- イングランド南西部のみが対象になる「ブリットレイル・サウスウエスト・パス」
- スコットランドを対象とした「ブリットレイル・スピリット・オブ・スコットランド・パス」
- スコットランドの中心のみを対象とした「ブリットレイル・セントラル・スコットランド・パス」
- スコットランド北部を対象とした「ブリットレイル・スコティッシュ・ハイランド・パス」
数ヶ国周遊パス
数ヶ国周遊パスは、特定の地域や近隣の数ヶ国で電車が乗り放題になるパスです。1週間程度の旅行であればこの数ヶ国周遊パスが一番使いやすいかもしれません。
数カ国周遊パスの種類は以下の通りです。
- ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3ヶ国を対象にした「ベネルクス・パス」
- デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧4ヶ国を対象にした「スカンジナビア・パス」
- オーストリア、チェコ、ハンガリー、スロバキアを対象にした「ヨーロピアン・イースト・パス」
- ブルガリア、ボスニア&ヘルツェゴビナ、ギリシャ、モンテネグロ、マケドニア、ルーマニア、セルビア、トルコを対象にした「バルカン・フレキシー・パス」
- ウィーン → プラハ → ザルツブルク or ブダペスト → ウィーンのルートに使える「セントラル・ヨーロッパ・トライアングル・パス」
有効期限
それぞれのパスには有効期限が設定されており、購入する際に選択する事ができます。有効期限には2パターンあります。
「○日連続使用」という有効期限を選択すると、初めてパスを使用した日から連続する○日間は何度でも乗り放題になります。
「□ヶ月有効期限内 △日」という有効期限を選択すると、初めてパスを使用した日から□ヶ月の間に、△日乗り放題を使用できます。こちらは「フレキシータイプ」とも呼ばれます。
フレキシータイプの使用可能日数は午前0時〜23時59分を1日とカウントします。
例えば、夜の10時頃に乗車して、乗車している間に深夜0時を過ぎたとすると、2日の使用日数を消費してしまいます。
短い間隔で次の都市へ移動する人は「○日連続使用」、1つの都市にじっくり滞在する人は「□ヶ月有効期限内 △日」の有効期限を選択すると良いでしょう。
有効期限を長くすればするほどパスの値段は上がるので、行き先はともかく、何日くらい旅行するかはプランを決めておいた方が無駄なくパスを利用できます。
座席クラス

ユーレイルパスを購入する際に、座席クラスを選ぶことになります。選べる種類は「1等席」か「2等席」。
1等席のパスを持っている場合、1等席の設定がない電車や1等席が満席の場合は2等席に乗ることもできます。一方、2等席のパスを持っている場合は、2等席にしか座れません。
チケットの種類によりますが、1等席用のパスは2等席用のパスよりも3〜4割ほど値段が高くなります。
1等席と2等席の違いは電車によって違うので、その価値があるかは一概には言い切れませんが、1等席の方が快適に過ごせることは間違いありません。
僕は2等席の移動でも十分でしたが。
ユーレイルパスはこんな人にオススメ

ユーレイルパスを買うのと鉄道切符を買うのと、結局のところどっちがお得なのか迷うかもしれません。
旅行期間中に1〜2都市しか訪れないようであれば、ユーレイルパスを購入する必要性は少ないでしょう。
ユーレイルパスは下記のいずれかに当てはまる人にオススメです。
- 旅行中に3都市以上を訪れる
- 移動中も景色を見て楽しみたい
- 子供と一緒に旅行する
- 行き先を決めずに旅をしたい
- 「世界の車窓から」が大好き
イギリスの評論家ジョン・ラスキンは言いました。「あらゆる旅はその速さに比例してつまらなくなる」と。
飛行機も良いですが、車窓からの景色を眺めながらヨーロッパの雰囲気も感じるのも楽しみがあります。きっと電車でしか見られない風景があります。
ユーレイルパスの値段
ユーレイルパスの値段
ユーレイルパスの値段は、対象国や使用車両、有効期限によって様々です。代表的なものを記載しておきますので参考にしてください。
パス | 座席クラス | 15日間 | 1ヶ月間 | 1ヶ月以内7日 |
グローバルパス (全31ヶ国) |
1等席 | €587 | €888 | €444 |
2等席 | €441 | €667 | €334 |
パス | 座席クラス | 1ヶ月以内3日 | 1ヶ月以内5日 | 1ヶ月以内8日 |
ベネルクスパス (ベルギー, オランダ, ルクセンブルク) |
1等席 | €161 | €224 | €304 |
2等席 | €121 | €169 | €228 |
パス | 座席クラス | 8日間 | 1ヶ月以内4日 | 1ヶ月以内8日 |
ブリットレイルパス (イギリス) |
1等席 | €357 | €308 | €453 |
2等席 | €240 | €212 | €304 |
詳しい料金はユーレイルのホームページ(日本語あり)で確認できます。
ユース&シニア割引
28歳未満のユースと60歳以上のシニアはユーレイルパスを購入する際に割引を受ける事ができます。ユースは最大23%、シニアは10%の割引になります。
グローバルパス(2等車)の場合の割引率は以下の通りです。
パス | 15日間 | 1ヶ月間 | 1ヶ月以内7日 | |
グローバルパス (全31ヶ国) |
大人 | €441 | €667 | €334 |
ユース | €340 (23%OFF) | €512 (23%OFF) | €257 (23%OFF) | |
シニア | €397 (10%OFF) | €600 (10%OFF) | €301 (10%OFF) |
ユーレイルパスの使い方と注意点

最後にユーレイルパスの使用方法と、使用する際の注意点をいくつかお話しておきます。
パスのヴァリデーション
ユーレイルパスは最初に使用する前に「ヴァリデーション(有効化)」を行う必要があります。パスを持っていても、ヴァリデーションを行なっていないと罰金の対象になるのでご注意ください。
ヴァリデーションは主要駅の窓口で行うことができます。パスを見せて「Eurailpass validation, please」と言えば伝わるでしょう。
なお、ヴァリデーションはパスの発行から11ヶ月以内に行う必要があります。それを過ぎるとパス自体が無効になってしまいます。
パスのチェック
ヨーロッパの駅には改札がない駅が多いです。つまり有効なパスや切符を持っていなくても電車に乗れてしまいます。しかし、不正が見つかった場合の罰はとても重いです。
定期的に車掌さんが車内に来てチケットの提示を求られます。改札がない分、うっかり有効期限が切れていた、なんてことが無いように注意しましょう。
人気の路線は事前予約を
ヨーロッパの鉄道も時期や路線によっては非常に混雑する場合があります。特に休暇をとる人が多い夏のハイシーズンは、旅行者も増えるので混雑が予想されます。
事前に座席を予約しておくと安心です。
電車で国境を越える時は…
ヨーロッパを鉄道で移動していると、電車に乗っている間に国境を越える事があります。
入国審査や税関はどうするの?と思うかもしれませんが、ヨーロッパ内 (シェンゲン協定加盟国)であれば、基本的に入国審査はありません。
気づかないうちに国境を超えていることがほとんどです。例外的にユーロスターなどは、乗車前に出国審査、降車後に入国審査があります。
対象外の国を通る場合
持っているユーレイルパスの対象外の国を通る場合、その国で下車するかに関わらず、対象外区間の切符が別途必要です。
例えば、ベネルクス・パス (ベルギー、オランダ、ルクセンブルクが対象) を持っていて、フランスからベルギーを通ってオランダに行く場合、フランス内区間の分だけ切符を購入する必要があります。
これらの点に気をつけて、ユーレイルパスでお得にヨーロッパで鉄道旅行を楽しんでください!