今回は、旅行用としてダントツのおすすめの「マイクロフォーサーズ」のミラーレス一眼カメラについて解説します。
次の旅行に向けてデジタル一眼カメラを購入したいけど、どれを購入したらいいか分からないという人の悩みを解決しちゃいます!
他にも「マイクロフォーサーズなんてフルサイズより画質の悪い初心者向けでしょ?」とか、「スマホのカメラで十分じゃない?」という誤解を持っている人にもぜひ読んでほしい内容になっています。
マイクロフォーサーズとは
『マイクロフォーサーズ』とは、デジタル一眼カメラの共通規格のひとつで、主にオリンパスとパナソニックのカメラに採用されています。
現在発売されている一眼レフカメラおよびミラーレス一眼カメラのほとんどは、「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」の3つの規格のいずれかに分類されます。
これらの規格の一番の違いはセンサーサイズです。
デジタルカメラにはイメージセンサーという、光を集めて映像化する部品があります。先ほど紹介した3つの規格は、それぞれイメージセンサーの大きさが異なります。

フルサイズのセンサーサイズが最も大きく、APS-C、マイクロフォーサーズと続きます。
センサーサイズが大きいと光を集める能力が高くなり、暗い場所でも明るい写真が撮れるといったメリットがあります。
※センサーサイズ以外にレンズの性能なども影響します。
マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さい分、本体やレンズの小型化が図られています(マイクロフォーサーズでもスマホやデジカメのセンサーの約9倍の大きさです)。
旅行にマイクロフォーサーズを選ぶ6つの理由
ここからは、僕が旅行にマイクロフォーサーズをおすすめする6つの理由を順番にご説明します。
持ち歩きに便利な「小型・軽量」
マイクロフォーサーズの一番の特徴は小さくて軽いカメラやレンズが多いことです。
旅行先で大きくて重たいカメラを持って歩くのはかなり疲れます。旅行に持って行くなら軽くて小さいカメラの方が絶対に便利です。
マイクロフォーサーズがどれくらい小型・軽量なのか、実際にみていきましょう。

まずはフルサイズの「ソニー α7」と、マイクロフォーサーズの中位モデル「オリンパス OM-D E-M10」、マイクロフォーサーズの中でも小型軽量なシリーズの「オリンパス PEN E-PL9」を比較します。
レンズはどれもスペックの近いものを付けています。
重さ | 大きさ | |
ソニー α7 (レンズ:FE 28-70mm f/3.5-5.6 OSS) | 本体:474g レンズ:295g 合計:769g | 本体:縦94.4mm × 横126.9 mm × 奥行き48.2mm レンズ:長さ83mm × 直径72.5mm |
オリンパス OM-D E-M10 Mark III (レンズ:M.Zuiko Digital 14-42mm f/3.5-5.6 II R) | 本体:410g レンズ:113g 合計:523g | 本体:縦83.6mm × 横121.5mm × 奥行き49.5mm レンズ:長さ50mm × 直径56.5mm |
オリンパス PEN E-PL9 (レンズ:M.Zuiko Digital ED 14- 42mm f/3.5-5.6 EZ) | 本体:380g レンズ:91g 合計:471g | 本体:縦68mm × 横117.1mm × 奥行き39mm レンズ:23mm × 直径61mm |
ソニーのα7もフルサイズの中ではかなり小型軽量な部類に入りますが、マイクロフォーサーズの機種はさらに小型軽量であることが分かります。
さらに、高性能なレンズや望遠レンズで比較すると、その差はより顕著になります。

こちらは「ソニー FE 24-70mm f/2.8 GM」(フルサイズ)と「M.Zuiko Digital ED 12-40mm f/2.8 Pro」(マイクロフォーサーズ) の比較です。いずれもf2.8という明るいレンズです。
ボディーはフルサイズの上位機種「ソニー α7III」とマイクロフォーサーズの上位機種「オリンパス OM-D E-M1 MarkIII」。
大きさはご覧の通りですが、重さもフルサイズが1,536gなのに対して、マイクロフォーサーズは962gで、2/3以下になりました。

続いては望遠レンズです。比較するのは「ソニー FE 70-300mm f/4.5-5.6 G OSS」(フルサイズ) と「M.Zuiko Digital ED 40-150mm f/4-5.6」(マイクロフォーサーズ)。望遠側の焦点距離はいずれも300mmというズームレンズです。
※マイクロフォーサーズの焦点距離はフルサイズに換算すると2倍になるので、40mm-150mmはフルサイズの80mm-150mmに相当します。
ボディーは先ほどと同じ「ソニー α7III」と「オリンパス OM-D E-M1 MarkIII」。
こちらも大きさの違いは一目瞭然。重さはフルサイズが1,504g、マイクロフォーサーズが770gと約半分になりました!
レンズを何本か持って行くことを考えると、どれだけマイクロフォーサーズが持ち歩きに適しているかが分かるでしょう。
思い出を美しく残せる「高画質」

「マイクロフォーサーズはセンサーサイズがフルサイズよりも小さいから、画質が良くない」と思い込んでいる人がいるようですが、それは大きな間違いです。
画質を左右する要素のひとつが、画像の細かさを表す「画素数」です。
最近のカメラは画素数がどんどん高くなっていますが、画素数は高ければ高いほど良いというわけでもありません。
例えば、スマートフォンで写真を表示するだけなら300万画素くらいあれば十分キレイに見えます。A3サイズに拡大したとしても1600万画素ほどあれば事足ります。
多くのマイクロフォーサーズの一眼カメラの画素数は1600万画素〜2,500万画素となっています。大きなポスターにしたい人でない限り十分と言えます。
さらに、オリンパスの一眼カメラに搭載されている「ハイレゾショット」という機能を使えば、最大8000万画素相当 (手持ちの場合は最大5000万画素) というフルサイズ機もビックリな高画素の写真を撮ることもできます。

最近はスマートフォンのカメラも画素数が上がってきており、iPhone11のメインカメラは1200万画素あります。パソコンの画面で見るくらいなら十分でしょう。
しかし、暗い場所での撮影や夜景の撮影ならどうでしょうか?
センサーの小さいスマートフォンのカメラを暗い場所で使うと、暗い部分にノイズが発生したり、写真にブレが発生したりすることがよくあります。
後から旅行先での写真を見返した時に、ノイズだらけの写真だったら残念ですよね?
その点、マイクロフォーサーズの一眼カメラなら、暗い場所でも撮影に十分な光を集めることができ、美しい写真を撮ることができます。
可能性を広げる「豊富なレンズ」

マイクロフォーサーズは、現在主流となっているミラーレス一眼カメラの草分け的な規格です。
そのため、長い年月をかけて充実されたバリエーション豊富な交換レンズが揃っています。
マイクロフォーサーズはオリンパスとパナソニックの共通規格であるため、オリンパスのカメラにパナソニックのレンズを使う、あるいはその逆、ということも可能です。
オリンパスではプロ仕様の高い解像度を実現した「プロシリーズ」、パナソニックでは高級カメラメーカーである「ライカ」の名を冠したシリーズなど魅力的なレンズがラインナップされています。
さらに、2社の他にもたくさんのメーカーからマイクロフォーサーズ規格のレンズが発売されているので、きっと理想のレンズが見つかるはずです。
ひとつめの理由としても紹介したように、マイクロフォーサーズのレンズは小さく軽いものが多いです。
旅行先での様々な撮影シーンをカバーできるように、何種類かのレンズも持って行ったとしても、フルサイズのレンズのようにかさばりません。
フルサイズなら持って行くのをためらってしまうような高倍率のズームレンズも、マイクロフォーサーズならカバンに入れていても気になりません。

ここでもスマートフォンとの比較をしておきます。
スマートフォンのカメラはズームができません。ズーム機能はついていますが、単に画像を引き伸ばしているだけで、ズームすればするほど画質が悪くなっているのをご存知ですか?
それに比べてマイクロフォーサーズの一眼カメラには、一般的な距離をカバーした標準ズームレンズや、遠くの景色を大きく撮れる望遠ズームレンズなどが幅広くラインナップされています。
マイクロフォーサーズの豊富な交換レンズは旅行先での撮影の可能性を大きく広げてくれること間違いありません。
もう失敗しない「手ぶれ補正機能」

マイクロフォーサーズの一眼カメラの多くには「手ぶれ補正機能」が搭載されています。
特に暗い場所で撮影をすると、光を多く集めようとしてシャッタースピードが遅くなります。その為、手持ちでの撮影では手ブレが発生する可能性が高くなります。
しかし、手ぶれ補正機能が付いていると、こういった手ぶれが発生しにくくなります。
特にマイクロフォーサーズ機の多くに搭載されている「5軸手ぶれ補正」は、フルサイズの上位機種の手ぶれ補正をも上回る効果を発揮します。
これにより、暗い場所でも三脚を使わない手持ち撮影でキレイな写真を撮ることができます。
旅行先では三脚を立てている時間がなかったり、三脚を立てると迷惑になったりすることがよくあるので、非常に便利な機能です。
また、車や電車の中からの撮影や、歩きながらの撮影でも効果は絶大です。移動中に見つけたものを瞬時に撮りたい時も、手ぶれ補正があれば失敗が少なくなります。
様々な環境で使える「耐久性能」

旅行先ではどんな環境が待っているか分かりません。急に雨が降ってきたり、砂埃が多い自然の中での撮影もあるでしょう。
マイクロフォーサーズの一眼カメラには、「防塵・防滴性能」を備えた機種が多く揃っています。
同じく防塵・防滴性能の付いたレンズと組み合わせれば、多少の雨や砂埃が付いても壊れる心配は不要です。
また、高い耐低温性能を備えた機種も多く、中〜上位機種は-10℃での撮影も可能なように設計されています。
そして、もうひとつ便利なのが「ダストリダクションシステム」です。
これはレンズを交換する際に、イメージセンサーに細かいホコリやゴミが付くのを防いでくれる機能です。
マイクロフォーサーズ規格を採用するオリンパスやパナソニックは、ダストリダクションシステムの性能の高さに定評があります。
旅行先では屋外でレンズを交換することもありますが、今までセンサーにホコリが付いて困ったという経験は一度もありません。
初心者でも始やすい「価格」

最後のおすすめポイントは「価格」です。一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラはどうしても高額なものが多く、それが理由で手が出せない、という人も多いのではないでしょうか。
しかし、マイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼カメラは、フルサイズのものに比べて安く購入できるものが多いです。
例えば、オリンパスの人気シリーズ「PEN」の「PEN E-PL9」は、ボディーだけなら5万円以下、標準ズームレンズと望遠レンズがセットになったダブルレンズキットでも6万円以下となっています (2020月8月時点)。
さらに、交換レンズの価格も重要なポイントです。フルサイズ用の交換レンズは大きくて重たいだけでなく、高額なものが多いです。
一方でマイクロフォーサーズ規格のレンズはフルサイズ用に比べて価格が安いものが多いのが嬉しいです。
例えば、オリンパスの高性能レンズである「M.Zuiko Digital ED 12-40mm f/2.8 Pro」は、実売価格が約9万円〜。
焦点距離、f値ともに似ているソニーの「FE 24-70mm f/2.8 GM」は実売価格が約20万円〜と倍以上のお値段です。
これは高性能レンズの場合ですが、マイクロフォーサーズにはもっと安価なレンズもたくさんあります。
極力費用を抑えて一眼カメラを始めたい人には、マイクロフォーサーズが絶対におすすめです!
デメリットもあるが補える
これまでマイクロフォーサーズのメリットを書いてきましたが、マイクロフォーサーズにもデメリットはあります。
しかし、その多くは撮影の方法や、レンズの選び方で補えるものです。
暗い場所での撮影

マイクロフォーサーズは、フルサイズのカメラよりもイメージセンサーが小さい為、フルサイズ機に比べると暗い場所での撮影が苦手とされています。
しかし、僕はこれまでマイクロフォーサーズのカメラを使って何度も旅に出てきましたが、暗所撮影に不満を感じたことはありません。
また、暗い場所での撮影性能を決めるのはセンサーサイズだけではありません。使用するレンズの明るさにも大きく影響されます。
マイクロフォーサーズにはフルサイズにはないような明るいレンズがあります。
例えば、通常のキットレンズのf値※は3.5程度〜が一般的です。オリンパスには「f/1.2」という非常に明るいレンズのシリーズがあります
※レンズの明るさを示す数値。数字が低いほど明るい
さらに、コシナというメーカーからは「f/0.95」という驚きの明るさを備えたレンズも発売されています。
その為、イメージセンサーのサイズが小さいからと言って、マイクロフォーサーズでは暗い場所での撮影ができない、というのは間違いです。
背景ボケの少なさ

もうひとつマイクロフォーサーズのデメリットとされているのが、背景ボケの少なさです。
一般的にカメラのセンサーサイズが大きいほど、背景ボケも大きくなります。その為、マイクロフォーサーズのカメラよりもフルサイズのカメラの方が背景ボケが得られやすくなります。
しかし、今回のテーマは「旅行におすすめのカメラ」です。
旅行先では風景や建物を写すことが多く、背景をぼかした写真よりも写真全体にピントが合った写真の方が圧倒的に多いです。
むしろ全体にピントを合わせるために明るさ (f値) を抑えて撮影することもあるくらいです。
旅行に持って行くなら、それほど背景ボケの大きさを重視する必要はないでしょう。
ひとつの物に焦点を当てて撮影をしたい時は背景ボケが効果を発揮します。
そんな時は、「暗い場所での撮影」の項でも紹介したように明るいレンズを使えば、マイクロフォーサーズでも十分な背景ボケが得られます。
特に単焦点レンズと呼ばれるズームができない代わりに明るく高画質なレンズを使えば、上の写真のように大きな背景ボケを生むことができます。
旅行におすすめのカメラ
ここからは旅行におすすめするマイクロフォーサーズ規格のカメラをご紹介していきます。購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
オリンパス OM-D E-M5 MarkIII
一番のオススメは僕も使用している「オリンパス OM-D E-M5 MarkIII」。小型で軽量ながら高い表現力に定評があり、手ぶれ補正機能も充実している高性能な機種です。
見た目もフィルムカメラ時代の名機「OMシリーズ」をベースにしたオシャレなデザインです!
オリンパス OM-D E-M5 Mark III | |
画素数 | 2037万画素 |
センサーサイズ | マイクロフォーサーズ |
重量(本体のみ) | 366g |
手ぶれ補正 | ◎ (5軸手ブレ補正) |
自撮り機能 | ◯ |
防滴・防塵機能 | ◯ |
Wi-Fi | ◯ |
価格 | 約100,000円 (ボディのみ) |
もう少し安く購入したい方は、旧モデルの「E-M5 Mark II」(レンズキットで8万円台〜)や、下位モデルの「E-M10 Mark III」(ダブルレンズキットで5万円台〜)を検討してみても良いと思います。
オリンパス PEN E-PL9
『オリンパス PEN E-PL9』はコンパクトながら手ぶれ補正や自撮り機能、Wi-Fiなどたくさんの機能が詰まった良いトコ取りのカメラと言えます。
現行モデルのE-PL10の旧モデルになりますが、機能や画質に大きな差はありませんので、値段が安くなっているE-PL9でも十分活躍してくれるはずです。
オリンパス PEN E-PL9 | |
画素数 | 1605画素 |
センサーサイズ | マイクロフォーサーズ |
重量(本体のみ) | 332g |
手ぶれ補正 | ◯ |
自撮り機能 | ◯ |
防滴・防塵機能 | × |
Wi-Fi | ◯ |
価格 | 約56,000円 (ダブルズームキット) |
旅行におすすめのレンズ
続いては、マイクロフォーサーズ規格のレンズの中から、旅行にぴったりのレンズをご紹介します。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PRO
「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PRO」はプロの写真家にも愛用者が多いオリンパスのPROシリーズの標準ズームレンズです。
焦点距離はフルサイズ換算で24mm〜90mmと、このレンズだけで大抵のシーンは撮りきれてしまうでしょう。
ズーム全域でF4の明るさを実現しながら、重さは254gとPROシリーズの中では非常に軽いレンズなので、旅行にもピッタリです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PRO | |
焦点距離 | 24mm〜90mm (フルサイズ換算) |
F値 | F4 (ズーム全域) |
重量 | 254g |
サイズ | φ63.4 x 70mm |
手ブレ補正 | ◯ |
防塵・防滴機能 | ◯ |
価格 | 約68,000円 |
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」はフルサイズ換算で50mmの焦点距離の明るい単焦点レンズです。
クリアな高画質で、明るい単焦点レンズならではの美しい背景ボケも魅力的。人物撮影などにも最適です。
軽さはわずか137g、しかもオートフォーカスも早い、という超おすすめレンズです。
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 | |
焦点距離 | 50mm (フルサイズ換算) |
F値 | F1.8 |
重量 | 137g |
サイズ | φ57.8 x 40mm |
手ブレ補正 | ◯ |
防塵・防滴機能 | ◯ |
価格 | 約30,000円 |
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
旅行先で意外と活躍するのが超広角レンズ。屋内での撮影やスケールの大きい建物や自然をうつす際にピッタリです。
「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」は、焦点距離はフルサイズ換算で18mm〜36mmと、かなりワイドに撮れるレンズです。
大きく重たいレンズが多い超広角レンズの中で、全長49.5mm、重さ155gの小型軽量レンズなので、旅行へ持って行くにもぴったりです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 | |
焦点距離 | 18mm〜36mm (フルサイズ換算) |
F値 | F4.0-5.6 |
重量 | 155g |
サイズ | φ56.5 x 49.5mm |
手ブレ補正 | ◯ |
防塵・防滴機能 | ◯ |
価格 | 約50,000円 |
僕も愛用するマイクロフォーサーズの魅力をご理解いただけたでしょうか?あなたも是非マイクロフォーサーズの魅力を体感してください!
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